2024年の13年と17年ゼミの二重羽化とキチンのエコサイクル
更新日:1月6日
2024年はアメリカで1兆匹の「素数ゼミ」が大量発生した年でした。221年に一度の数学と自然の神秘と言われ話題となりました。以前に17年ゼミが話題になった2007年には、セミが大量発生した年は豊作になるというニュースを見て、勝手にキチン・キトサンと関連付けて考えていたのを思い出します。※素数ゼミは、周期ゼミとも呼ばれます。

朝日新聞のGlobe+の記事によれば、北米固有の「素数ゼミ」(訳注=13年ごとに大量発生する「13年ゼミ」と17年ごとの「17年ゼミ」がある。13も17も素数であることからこの呼び名があり、「周期ゼミ」とも呼ばれる)の二種がともに羽化する年となった。「現代人は、だれ一人として次のダブル羽化を体験することはできない」とフロイド・W・ショックレーは、いかに貴重な機会であるかをまず強調。昆虫学者で、米国立自然史博物館の収集担当マネジャーだ。「人間が、本当にちっぽけな存在に見えてくる」ショックレーによると、今回のダブル羽化では全部で1兆匹を超えるセミが現れることになりそうだ。その地域は、GSBとNIBが通常(訳注=13年おきか17年おきに)見られる16州ほどに及ぶ。都市部の緑地を含めて、森や林の方が、農地よりも多く出てくる。
セミの抜け殻に36.6%のキチン、11.7%のミネラル、39.8%のタンパク質
セミに限らず昆虫の外骨格はキチンを含んでいます。主にキチンとカルシウムとタンパク質です。国立ナノテクノロジーセンター、ナノデリバリーシステム研究所の2010年の研究によると、セミ抜け殻からの精製キチンの回収率は36.6%であったのに対し、水田に生息する淡水カニの甲羅からの回収率は15.2%であったという結果となっています。さらに、セミの抜け殻は、36.6%のキチン以外に、水分8.7%、灰分11.7%、脂質・リポ蛋白質2.7%、蛋白質39.8%から構成されていたということ。さらに詳細なデータでは、セミのぬけがらにはCa、Mg、K、Al、P、S、Si、Feの元素が検出されたということでした。
土壌には、私たちが土壌分析して得られる栄養成分の数値以外に、相当量の有機物が存在していることが想像できます。前述の記事の続きでは、1兆匹のセミがどれだけ多いのか? それを分かりやすく示すと、1匹の体長は、1インチ(約2.54センチ)を少し超えるぐらい。これを1匹ずつ縦に並べると、長さは1578万2828マイル(約2540万キロ)にもなる。「地球と月との間を33回も往復してしまう」とショックレーは目を丸くしてみせる。
これはセミに限った例ですが、土に住む生き物の総量を把握することは難しいとしても、生きている生物、死んだ生物や腐植を含む土壌有機物(Soil Organic Matter)を高めることが土の健康につながるという点と結びつくきます。土の物質循環を再生させることで、植物に必要な栄養分が生み出されることになる。
【解説】キチンは、昆虫の外皮、羽、手足などの外骨格と消化管の構成成分であり、カビや菌根菌など糸状菌(真菌)の細胞壁の成分でもあります。キトサンは、キチンを脱アセチルかした成分で希酸に可溶のため溶液として利用できるメリットがある。