キチン質と微生物の関係

 

一般にカビと呼ばれる糸状菌の細胞壁の多くには、キチン質が含まれています。また、昆虫の外皮や消化系にもキチン質が含まれており、そのキチン質は、放線菌やバチルス菌などのキチン分解酵素キチナーゼにより分解されてエサとして利用されます。つまり、土壌の生態系には常に豊富なキチン質が循環し、キチン質をもつ微生物と持たない微生物が互いに拮抗しながらバランスを取っている関係がある訳です。

 

キチン質を持つ糸状菌の中には、病原性を持つものも多く、土壌にキチン質が不足すると放線菌やバチルス菌が減少し、病原性糸状菌を抑制することができなくなり、病気の多発する土壌となります。逆に、キチン質が豊富にある土壌では、放線菌やバチルス菌などの有用微生物が病原性糸状菌を抑制してくれるため、植物の生育にとって非常に有益な環境になります。

 

● 放線菌の特長と働き

フザリウム菌などの病原菌の細胞壁はキチン質が含まれているため、放線菌はキチナーゼ、キトサナーゼなどの分解酵素を分泌して分解します。また、ストレプトマイシンなど多くの抗菌物質を作り出して病原菌を抑制する働きをします。放線菌は、乳酸菌や光合成細菌とも共生環境を作り出します。

 

※病原性放線菌について

ほとんどの放線菌は植物にとって病原性はありませんが、ジャガイモそうか病菌やサツマイモ根腐菌などは数少ない病原性放線菌が原因ということがわかっています。ただし、これらの放線菌はキチナーゼを分泌しないため、キチン質施用による病原菌の増殖作用はなく、むしろ有用な放線菌の増殖により、病原性放線菌の働きは抑制されることが研究により報告されています。