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桃の褐変(かっぺん)とポリフェノール


生の桃果肉の皮を剝いたままにしておいたり、カットした切り口は茶色く変色しやすく、これは酸化酵素によるもので褐変現象と言われています。リンゴの場合と同じく、これは主にポリフェノールオキシダーゼという酸化酵素によるものです。


桃にはクロロゲン酸、L-エピカテキン、ロイコアントシアンなどのポリフェノールが含まれていますが、褐変に伴いロイコアントシアンが減少し、ロイコアントシアンが褐変の基質であることを示しました。


品種による褐変の強弱の際はポリフェノールオキシターゼの活性の強弱によるものではなく、基質となるクロロゲン酸やロイコアントシアンなどのポリフェノール成分含量の多少に起因するということがわかりました。


つまり、抗酸化力の高い、免疫力の高い桃は、ポリフェノール含量が高いため酸化しにくいということです。


参考資料:日本食品工業学会誌 第10巻 第6号 1963年6月 「酸化酵素による桃果肉のかっ変現象」 静岡大学農学部




和歌山県紀の川市桃山町で収穫される桃は、「あら川の桃」という商標で関西ではよく知られています。この地区で、17年前から特別栽培による桃作りに取り組まれている生産者グループがあります。キトサン、微生物、米ぬかボカシなどを使い、草を刈って土壌に炭素を戻す栽培を続けてこられています。


こうして育った桃は、写真のように皮をむいても、カットしても、果肉が酸化して茶色くならないことを農家さん同士でも話題になっていました。


植物の免疫を高めると、抗酸物質のポリフェノール含量が高まり、茶色く変色しない桃が育つ。すばらしいことです。

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