top of page

キトサンによる銅剤の薬害低減

更新日:2021年9月7日


(A)水、(B)14μg/mlの硫酸銅五水和剤と25μg/mlのキトサン、(C)14μg/mlの硫酸銅のみ



アメリカ・ワシントン州立大学植物病理学部の2006年の研究では、低レベルの銅剤とキトサン併用によるジャガイモの疫病に対する防除効果があることが報告されまました。


詳細は、INFORMATIONを参照ください。


この報告の中で、ジャガイモ疫病は慣行農法では市販の化学合成殺菌剤を複数回使用することで防除することが可能ですが、有機栽培では銅含有の殺菌剤、または天然成分を利用する方法に限定されています。


USDA(米国農務省)のオーガニック・プログラム(National Organics Program)では、硫酸銅五水和剤(CT-100)が認証されていますが、高濃度では除草剤ともなり、植物への毒性が懸念されています。銅残留物に関する環境への影響を懸念し、使用量を削減する必要性が示されています。


キトサン(不活性成分)は、EPA(アメリカ合衆国環境保護庁 Environmental Protection Agency)のList4記載によりオーガニック・プログラムで使用を免除されていますので、硫酸銅五水和剤とキトサンの組み合わせは、アメリカの有機栽培で利用可能です。



切り取られた葉の分析結果として、硫酸銅五水和剤とキトサンの組み合わせでは、殺菌作用のある銅剤として推奨される40倍低いレベルで疫病の中程度の抑制と葉の黄変を抑えることができました。


一般的に銅剤を複数回使用した場合には、薬害として黄変が見られることがありますが、キトサンと銅剤を組み合わせた場合、単独で適用した場合よりも、細胞質内での銅の検出が少なかったことが分かりました。つまり、キトサンと銅剤の混合では、疫病感染が起こる葉の表面上に有効成分が残る結果となりました。


キトサンは、アミノ糖の天然高分子で、酸溶液中ではカチオン(正電荷)となるため、ジャガイモの葉の表面の負(マイナス)電荷と硫酸銅五水和剤の両方に付着することができ、展着剤(sticker)として働いたことで、銅の細胞質への移行を抑制し、黄変を抑えることが分かりました。


こちらの記事も参照ください。




引用:© 2006 Plant Management Network. Accepted for publication 23 February 2006. Published 6 April 2006.





 最新記事
 SEARCH BY TAGS: 
bottom of page